前置き
ネットの情報眺めておりましたら「AMD Radeon は伝統的に標準では電圧高めに設定されている」ようなことを知りました。そこで Radeon 6800 について、省電力設定を試してみたいと思います!
なお、電力チューニングや電圧チューニングは定格動作外であり「自己責任」であることを十分に理解されたうえで、設定お願いいたします。この設定により壊れたとしても「自己責任」です。
検証結果
テスト環境
GPU | 玄人志向 RX6800 (RD-RX6800-E16GB/TP) |
CPU | AMD Ryzen 3600 |
メモリ | DDR4 32GB |
チューニングソフト | AMD Radeon Software (AMD公式ツール) |
ベンチマークソフト | 3DMARK Time Spy (ver1.2) |
今回のテストで使用した 「玄人志向 RX6800 搭載GPU」です。シンプルでカッコいいです。
テスト条件
今回はとりあえず「①標準設定/②電力制限/③電力制限と電圧制限と最大周波数制限」の3パターンで試してみました。それぞれの詳しい設定条件は、下記の一覧を参照お願いします。
条件区分 | 電力制限 (電源チューニング) | 電圧制限 (GPUチューニング) | 最大周波数 (GPUチューニング) |
---|---|---|---|
①標準設定 | 標準 | 標準 | 標準 |
②電力制限 | 92% (-8%) | 標準 | 標準 |
③電力制限+α | 92% (-8%) | 94% (-6%) ※975mV | 95% (-5%) ※2155Mhz |
※電力制限の「-8%」は、現時点で最新の AMD Radeon Software で設定可能な下限値になります。
※③では安定動作をさせるため、電圧制限と合わせて最大周波数も若干制限しています。(私の環境では、最大周波数を落とさずとも 3DMARK を完走しましたが、念のための設定です。)
検証結果
3DMARKスコア
「①標準設定」を100%としたときに、「スコアは何%に低下しているか」を表しています。下記のグラフはスコアの絶対値ではないことに注意してください。(詳しいスコアが知りたい方は「参考画面」を参照ください)
消費電力
「①標準設定」を100%としたときに、「消費電力は何%に低下しているか」を表しています。下記のグラフは消費電力の絶対値ではないことに注意してください。(詳しい消費電力が知りたい方は「参考画面」を参照ください)
まとめ
①電力制限-8%
電力制限マイナス8%としたとき、実際の消費電力は、標準設定に対してマイナス5.5%となっています。しかし、3DMARKのベンチマークのポイントは標準設定に対してマイナス1.12%にとどまっています。
消費電力低下量とスペックの低下率を比較すると、設定する価値は大きいのではないでしょうか。
電力制限-8% & 電圧制限-6% & 最大周波数制限-5%
電力制限マイナス8%にさらにプラスし、電圧制限-6% & 最大周波数制限-5%としたとき、実際の消費電力は、標準設定に対してマイナス23.63%と大きく低下しています。しかし、3DMARKのベンチマークのポイントは標準設定に対してマイナス3.13%にとどまっています。
消費電力低下量の割にスペックの低下率は非常に限定的であり、効果は非常に大きいのではないでしょうか。ただ、この設定の問題点は「定格動作ではない」という点でしょう。電圧も周波数も抑える方向のため、オーバークロックのような負荷はハードウェアにかからないはずですが、定格動作ではないという事実はさけられません。完全に自己責任の範囲です。
限界値 (2021.02.21追記)
その後、PowerColor の RX6800搭載GPU AXRX 6800 16GBD6-3DHR/OC ( Red Dragon モデル)で定電圧の限界値を探ってみました。その結果が以下の通りになるのですが、2000Mhzまで最大周波数を落とした時に、915mV までは耐えることができましたが、910mVでシステムダウンとなりました。
あくまで私が所持しているGPUでの結果でありますので、個体差を考えると、実際は多少全前後すると思われます。しかしながら、標準でも結構余裕をみた電圧設定になっているのではないかと考えれます。(リファレンスモデルではなく PowerColor の オーバークロックモデルだから、という可能性も無きにせもあらずですが)
しかし何れにせよ、定格動作させる前提、つまり最大周波数を定格にリファレンスモデル同等に制限、する前提ならば、結構がっつり攻めた設定でよいかもしれません。(とはいえ、通常運用にはある程度マージンが必要と思われますので、実際には930mVあたりまでにしておくのが正解かもしれませんが)
条件区分 | 電力制限 (電源チューニング) | 電圧制限 (GPUチューニング) | 最大周波数 (GPUチューニング) | 可否 |
---|---|---|---|---|
標準 | 100% | 1025mV | 2105Mhz (リファレンス周波数) | OK |
B | 92% (-8%) | 915mV | 2000Mhz (周波数を若干落としてます) | OK |
C | 92% (-8%) | 910mV | 2000Mhz (周波数を若干落としてます) | NG (システムダウン) |
参考画面
上の部分で概要を説明させていただきましたが、詳細を確認したい方向けに、今回のテストで測定/使用したデータ
- AMD Radeon Software の設定画面
- 動作クロックと消費電力の推移
- 3DMARK Time Spy でのベンチマーク結果
を置いておきますので、必要な方は確認くださいね。
なお、「動作クロックと消費電力の推移」は本来ならベンチマーク中に画面キャプチャするべきですが、3DMARK でのベンチ中は画面キャプチャできないことから、別の方法で使用率100%まで負荷をかけて記録しています。ご了承お願いします。
条件①:すべて標準設定
条件②:電力制限 -8%
条件③:電力制限-8% + 電圧制限-6% + 最大周波数制限-5%
所管
③の条件かなり大胆にチューニングしており、消費電力の大幅な低下が可能となりました。またベンチマークも完走しており、ヒヤヒヤしながら設定しましたが、私の環境では意外と安定しているようです。
とりあえずこの設定で暫く使用してみたいと思います!
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