AMD Ryzen Zen 2 自動OCによる爆熱を何とかする (Ryzen Master)

ハードウェア
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背景

久しぶりにパソコンを新調し始めてAMDのZen第二世代CPU ( Ryzen 3600 ) に変えたんですが、巷でも言われるように爆熱で、CPUファンが回りっぱなしであまりに煩すぎます。

これはどうやら、少し負荷の高い作業をしただけで定格以上にクロックが急激にあがり発熱し、ファンが煩くなっているようです。このままではあまりにファンが煩いので、対策を考えてみることにします。

2021/02/25追記:この記事を書いた後もファン音が気になって、根本対策として「自動OCそのものを無効化」してしまいました。もし自動OCを無効化してよい方は、正直こちらのほうがよいかもしれません、、、

Ryzen Zen2 自動オーバークロック機能

調べてみると、これは Zen 2 に搭載されている自動オーバークロック機能 [ XFR (Extended Frequency Range) ] あたりが怪しそうです。この自動オーバークロック機能は、冷却の能力が許す限り電圧を上げて、その分のクロックを上げて性能向上を図る技術のようです。

非常に有益な機能のようですが、ただこれでは、静かなパソコンにしようと折角良いファンを使っているのに、消費電力が上がって無駄にファンに回転数が上がることになり、個人的には少し困ったことになってしまいました。特に寝室にパソコンを置いている自分にとっては、かなり致命的です。

Precision Boost

ざっくりいえば、作業内容や付加に応じて「同じ電力でも最大限の性能が出るようにコントロールする機能」のようです。

例えば、マルチコア性能よりもシングルコア性能が求められる場合には一部のコアを休止させて、浮いた電力でを特定のコアに割りあてシングルコアの周波数を高める。またマルチコアが有効な状況では全コアを稼働させる、等々のコントールをしているみたいです。

XFR (Extended Frequency Range)

CPUの冷却能力に余力があるならば、規定値よりも高い電圧/電力を掛けて、定格以上のクロック数で動作させる機能です。

定格以上に電圧をかけると、当然ながらCPUはその分発熱量が増しますので、必然的にCPUファンも高速回転することになります。そしてこの XFR は容赦無く電圧を上げるのでCPUが爆熱になり、CPUファンが高速回転することになります。

私は静穏性重視でCPUファンをWraith STEALTH (Ryzen 5 3600付属品) から、Wraith PRISM (主にRyzen 9に付属 )に変えているのですが、冷却能力が上がった分も XFR に割り当てられ、全く静かではありません!!

改善 (BIOS)

目標

Ryzen 5 3600 の定格は 3.60 GHz であるため、高負荷時に3.80GHzくらいを目指して電力上限の調整をしてみたいと思います。

自動オーバークロックは本来望ましい機能なのかもしれないけど、自分はパソコンを寝室に置いているため、無尽蔵に電力消費して熱くなり、ファンが煩くなるのはNGです。特に写真のRAW現像や動画編集は変換に時間が掛かるため、定格駆動プラスアルファくらいで静かに変換してくれると尚良いなと。

自動オーバークロックを無効化したらよい話なのかもしれないけど、折角Zen2を使っている事もあるし、それではあまりに味気ないので、、、

ECO Mode

ECO Mode はCPUの消費電力を下げるモードで、Ryzen 5 3600 の場合、ECO Mode をONにすることによりTDPが65Wから45Wに低下します。

これは非常に手軽でして、BIOS から ECO Mode を有効にするだけで、細かな設定は行わずとも AMD が考えた最適なエコ設定に切り替わります。

ただ問題もって、これでもまだまだ爆熱だったので、今回はBIOS画面から更に設定を詰めてみます。

BIOS制御 (Ryzen Master)

設定項目

BIOS または Ryzen Master で電力関係の項目を操作することにより、自動オーバークロックの挙動を操作する事が可能です。

で、BIOS制御 (またはRyzen Master)で電力制限を詰める場合の項目は、主に下の3項目です。それぞれ以下の意味になってまして、3項目のいずれか一つつでも上限に達した時点で、自動オーバークロックは頭打ち(=つまり上限)となります。

なお PPT はワットなので最大消費電力を、TDC と EDC はアンペアなので最大電流値で指定します。

名称詳細単位説明
PPTPackage Power Target Limitワット [W]CPUが使用可能な最大の消費電力。
自動OCは、PPT以下の電力で実施される。
TDCThermal Design Current Limitアンペア [A]長時間電力制限(?)
EDCElectrical Design Current Limitアンペア [A]短時間電力制限(?)

なおRyzen Master はAMD純正な Ryzen CPU オーバークロックソフトです。Windows上からオーバークロックができ、またCPUの各種負荷状況も確認できます。私はBIOSで設定を変更したのですが、こちらを使ったほうが楽だったかもしれません。

テスト結果

数パターンで計測したので、詳細は少し下にあるグラフをみてください。なおCPUファンはWraith STEALTH (Ryzen 5 3600付属品) ではなく、Wraith PRISM (主にRyzen 9に付属 ) しているファンにを使用していることに注意ください。なおテスト時期は9月中旬で28度くらいでした。

結論からいえば、Ryzen 5 3600 に限定していえば [ PPT40W – TDC35A – EDC45A ] に設定すると、高負荷時の周波数が目標近くの3.85GHzになりました。それに伴いCPU温度も大きく減少しています。

確かRyzen 5 3600 の PPT の標準値は88Wだったはずなので、PPT を半分以下にしたとしても、自動オーバークロックで定格以上のクロックで駆動している事がわかります。(本来は定格駆動時のデータもとっておくべきだったんですが、誤ってデータ消してしまいました、、、)

PPT を細々と下げても効果は限定的なので、CPU温度を下げたり自動OC時の周波数を落としたいときは、思い切って大きく下げてしまうのがよいと思われます。

自動OC (最大周波数)
自動OC (CPU温度)
自動OC (コア最大電圧)

参考資料(Ryzen Master キャプチャ)

参考までにテストした3条件の、Ryzen Master のキャプチャ画面を置いておきます。

Ryzen Master (ryzen 3600)
Ryzen Master (ryzen 3600)
Ryzen Master (ryzen 3600)

所管

時の流れでCPUが進化したのか、それまたRyzenが凄いのかは判断つきませんが、AMD Ryzen 3600 はすごい性能でした。ただ初めに書きました通り、無駄に電力を食い、無駄にCPUファンがうるさい気がします。

いままで使っていたCPUが自動OCが無い時代のCPU ( Intel Core i7 4770 ) だったので比較対象としてはどうかと思いますが、でも Core i7 4770 は電力制御が (不要なところでは容赦無く周波数を落とすという意味で) 上手かったように感じてます。

Intelがうまかったのか、AMDがへたなのか、はたまた設計思想が全く違うのかは判断がつきかねますが。

とはいえ、結果的には静かで性能が高いPCとなったので大満足です!

コメント

  1. […] AMD Ryzen Zen 2 自動OCによる爆熱を何とかする (Ryzen Master)AMD Ryzen Zen 2 には自動オーバークロック機能が搭載されていますが、これのおかげで、CPUが爆熱です。BIOSの設定を詰めることで最大 […]

    • minami より:

      私もB350とRyzen 3600で一台組んでいますが、ECOモードで45W設定にすると
      負荷をほぼ100%にしても室温25度程度でCPUが65度を超えた事が無いです。
      クーラーはRyzen 1600のを使いまわしているんですが…

      Ryzen3600のワッパ的スイートクロックはAMDの基本クロック通り、3.6GHz付近の個体が
      大勢を占めている様で、自動OCを切っても良いのなら、ClockTuner for Ryzenを使って
      低電圧で回るクロックをスキャンしても良いかもしれません。
      私の個体は全コア3.6GHz、コア電圧0.974vあたりでパスしましたので少しマージンを
      入れて1Vで動画エンコード時は運用しています。自動OCはしませんが、定格より
      低電圧のまま全コア3.6GHzで回るのでエンコードのワッパはとても良くなりました。
      アンコア部の電圧もBIOSで調整すれば正しくMAX45WCPUといって良い程です。

      3.6GHzで無くとも、希望のクロックで全コアエラーの出ない電圧を自動で探し出して
      くれるので便利ですよ。既にご存じでしたらすみません。

      • ram64gb より:

        minami様はじめまて、コメントありがとうございます! あと返信遅れまして申し訳ございません、、、

        > ECOモードで45W設定にすると負荷をほぼ100%にしても室温25度程度でCPUが65度を超えた事が無いです。
        →発熱が激しいためBIOS設定弄ったり、CPUグリスを付け直したり、冷却重視のケースに変えたりと色々試したんですが、私の環境ではどうしても発熱が収まらなかったんですよね、、、
        何かマザボの設定(メーカーや型番)が大きく影響している可能性も捨てきれず、その他、私の環境で何かしらが悪影響を及ぼしてる可能性も捨てきれないのですが、如何せんPCは1台しか所持しておらず、これ以上のトライができず困っています。
        もしテストされてる方がいらっしゃいましたら、是非温度関係の数値を教えていただきたいところです、、、

        > 自動OCを切っても良いのなら、ClockTuner for Ryzenを使って低電圧で回るクロックをスキャンしても良いかもしれません。
        →お教えいただきありがとうございます。ClockTuner for Ryzen ですが、今回初めて知ったのですが非常に面白そうなツールですね。
        時間を見つけて試してみたいと思います!

        > 低電圧のまま全コア3.6GHzで回るのでエンコードのワッパはとても良くなりました。
        →なるほどー、定電圧化ね。今回はそこまでは試してなかったので、こちらも今後試してみたいと思います。もしかしますと自環境が不味いのかもしれませんが、Ryzen って標準だとモリモリ電気を食うので困りどころですよね。まあいじり甲斐があって楽しくはありますが!(笑

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